Tips GIF画像フォーマット

GIF (Graphic Interchange Format) は、Webページにイメージを貼り込めるようになった当初から、利用されてきた画像フォーマットです。

もともと、米国のコンピュータ通信会社である CompuServr (現在は AOLに吸収されている)が作ったもので、現在のバージョンは GIF89a となっています。256色までのパレットを扱うことが可能で、イラストレーションなどベタな色使いのイメージに適しています。

インターレースと透明化GIF
GIF89a画像ファイル形式は、他のフォーマットでは不可能な機能がいくつかありますが、好んでよく用いられる形式がインターレースと透明化 (透過) です。
インターレースは JPEG のプログレッシブと同様に、ダウンロード時に徐々に解像度が上がって表示されるようになるものです。普通の画像ファイルのように上から下へ順に表示されるのではなく、まず低い解像度で目の粗い画像が表示されてから、データを受信するにつれて徐々に高い解像度で画像の細部が埋められていきます。これは、完全にクリアに表示されていなくても、何らかの形でユーザに役に立つ情報を与えることができるような画像や、どんな画像が現れるか大体の予測ができるような時には便利な機能です。
ただし、インターレース化するとファイルサイズが大きくなってしまう欠点があります。筆者はほとんど使いません。便利な機能ではありますがインターレース化することのメリットが昨今のインターネット環境では疑問だからです。
GIF89a では特定の色を透明にすることができます。画像によっては背景色をユーザのWebブラウザ画面の背景色と一致させていたほうが見栄えがいい場合もあります。これは背景画像を使ってもできません。というのは、ユーザのブラウザ画面でどのような背景色が用いられているかを知る由もありません。
GIF89a仕様では 256色のうちの1色を透明として指定することができます。背景にどんなものがあっても透明化指定された色の部分を通して背景が見えるようになります。その結果、透明化GIF画像はブラウザ画面上に浮かび上がって見えます。
Sample_1 Sample_2
水色の背景に透明化していないものと透明化している GIF画像の比較
GIFの特許問題
現在、GIF画像の使用や、GIFを使用するアプリケーションの開発などには、米国UNISYS社とのライセンス契約が必要です。これは同社が GIFで使用されている LZW (Lempel Ziv Welch)圧縮アルゴリズムの特許を持っているためで、ライセンス契約なしで GIFを利用した場合、特許を侵害したことになります。
Microdoft社や Adobe社などの主な企業は、UNISYS社とライセンス契約を行っているため、DrawPhotoshopなどのソフトウェアで作成した GIF画像の利用に対して、私たちエンドユーザーがライセンス契約をする必要がありません。
エンドユーザーにとって問題となるのは、ライセンス契約を行っていないフリーソフトウェアで作成した GIF画像や、CGIなどのプログラムによってGIF画像を生成する場合などは、エンドユーザーにもライセンス契約が求められることです。つまり非常に高額なライセンス料を支払わなければならないわけです。
また、フリーの素材集でGIFフォーマットを利用しているものについても、素材の製作会社や素材作成に使われたアプリケーションが適切なライセンス契約をしていない場合、エンドユーザーに契約が求められます。
こうした問題のため、GIFフォーマットを扱うことのできるフリーソフトはどんどん消滅しつつあります。また、素材集やWebページで使用している GIF画像に関しても、ライセンス契約されたアプリケーションですべて作り直すといった事態も発生しています。
(なお、当サイトでの GIF画像は、ライセンス契約を行っているアプリケーション・ソフト、Adobe Photoshopを使用して制作し利用しています、念のため)
ライセンス問題の経過
GIF形式は、先に述べたように米国のコンピュータ通信会社である CompuServr社が自社のコンピュータ通信に使用するために作成したフォーマットで、無料で利用することが可能でした。ところが、GIF形式で使用された圧縮アルゴリズム LZWが、米国UNISYS社の所有する特許を取得していたものであったため、ライセンス問題が発生しました。
1994年、同社は CompuServe社との間で特許料支払いの合意に達し、フリーソフトにはライセンス料を求めないとの声明を発表しました。
ところがその後、フリーソフトからも特許料を徴収すると方針転換し、1999年には、特許を侵害している GIF画像 (ライセンス契約していないアプリケーションで制作されたものなど) を Webで利用するための、Webサイト向けのライセンス契約システムまで用意されました。このサイトライセンス契約では、1サイトごとに2サーバーまでで 5000ドルとなっています。
日本ではこの問題に対してあまり注目されていませんが、オリジナルの原文についても様々な解釈が可能で、何も気にせずにGIF画像を使い続けていると、ある日突然、特許侵害で賠償金請求という問題に発展しないとも限りません。
ライセンス契約されたアプリケーションで作成したGIF画像を使うことに関しては問題ないということになっていますが、将来的にどうなるか分かりません。今後の動向を気にしておきたい問題ではあります。
GIFの代わりとなるもの
こうした特許問題が浮上してきた GIFフォーマットに対して、無料の規格で誰でも使用することができるフォーマットとして、PNG の利用が促進されています。W3Cでもこの情報を得ることが可能です。
UNISYS社のHPより抜粋
http://www.unisys.com/unisys/lzw/
GIF について
GIF形式 は、1987年に米国の商業ネットワーク会社である「CompuServe」が、グラフィックデータを圧縮、解凍する方法として発表した規格です。
現在、GIF形式はグラフィックデータの保存形式として画像関係のソフトウェアで広く利用されており、World Wide Web上の多くの画像はこの GIF形式を用いて保存されています。多くの Web制作者たちが関心を持つ米国UNISYS社の特許は、この GIFそのものに対するものではなく、GIFイメージを作成または表示するために使用される「LZW 」というデータ圧縮アルゴリズムを対象としています。
LZWについて
米国UNISYS社は、1985 年に米国において「高速データ圧縮及び解凍」(High Speed Data Compression and Decompression) として LZW に関する特許を取得し、同様の特許をイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダにおいても取得しています。また、日本においては「デジタル信号ストリーム圧縮方法及び圧縮装置」(公告番号:平5−68893)として出願され、現在は特許が成立しています。
また、米国UNISYS社は、この LZW に関して他に 2つの特許を出願中であり、近い将来において特許成立が見込まれています。米国UNISYS社は、同社の LZW の技術が多くの技術分野で有効であると考えており、画像関係では GIF の他に TIFF-LZW、PDF、PostScript Level 2 などに、また、通信関係ではヨーロッパで採用されいる GSM規格に適用が可能と考えています。
ライセンスの取得
日本において米国UNISYS社の LZW に関する特許が成立していますので、GIF、TIFF-LZW あるいは他のいかなる形式においても LZW を利用してソフトウェアまたはハードウェアを開発される場合には、米国UNISYS からライセンスを受ける必要があります。
市販のペイントソフト、ブラウザーソフト等を購入されて、ご利用されているエンドユーザにつきましては、そのソフトウェアがエンドユーザに正式にライセンスされている限り、基本的に米国UNISYS社よりライセンスを取得する必要はありません。
しかし、そのような市販ソフトウェアの開発会社または販売会社が LZW の利用につき米国UNISYS社とライセンス契約を締結していない場合には、エンドユーザにおいて LZW に関する機能がご利用できない可能性があり、この場合、その様な機能のご利用を希望される方は米国UNISYS社とライセンス契約を締結頂く必要があります。
その他、ユーザの方がソフトウェアを開発されるために LZW を利用した開発ツールを利用する場合があり、当該開発ツールをご利用される過程で LZW を利用する機能が開発されるソフトウェアに組み込まれる可能性が考えられます。
この場合は、開発ツールのユーザの方であっても、開発および開発されるソフトウェアの配布について、米国UNISYS社との間でライセンス契約を締結頂く必要があります。
米国UNISYS社とライセンス契約している主な企業
http://www.unisys.com/unisys/lzw/lzw-companies.asp
W3C PNGに関するドキュメント
http://www.w3c.org/Graphics/PNG/
GIF特許問題の怖さ
ライセンス契約されたアプリケーションで作成したGIF画像の利用は、アプリケーション購入者に認められています。それでは、お試し版ではどうなるのでしょうか?ライセンスされた画像の再利用は?また、フリーのレンタルWebサーバーに強制的に表示される広告の画像データは、きちんとライセンスされているのでしょうか?
さらに、ライセンス契約されたアプリケーションで作成された画像であることをどのように判断されるかも分かりません。求められる証拠を提示できなかったとしたら、どうすればいいのでしょうか。
このようにライセンスに関する問題を考え始めるときりがありません。最近の状況を見る限り、もともと GIFを作成した CompuServe社が存在しないこともあるためか、米国UNISYS社に歯止めをかけるものは何もないという印象です。この問題には法的な解釈によっていくらでも文句をつけられる可能性があり、いつ何を言われるか分からない怖さがあります。
GIFの特許の期限切れ
2003年6月20日、米UNISYS社が持つ LZW圧縮に関する特許が米国において期限切れを迎えましたた。これにより、Web上における主要な画像フォーマットのひとつである GIF形式につけられていた使用制限が米国では解除され、GIF形式で作られた画像や GIFファイルを処理するソフトウェアを完全にフリーな形で利用ができるようになりました。
ただし、日本では同特許はあと約1年有効期間が残っているため、日本国内ではまだ GIFに対する制約がしばらく残りますが、UNISYS社では同特許について、米国以外の国でも特許延長の申請を行わないことを言明しており、来年の今頃には日本でも GIF形式を自由に利用することが可能となることでしょう。(2003年7月2日追記)
日本国内におけるLZW特許が失効
2004年6月20日に、ユニシス社が持つ LZW圧縮技術の特許が失効した。これによってフリーソフトなどでも手軽に GIF形式の画像処理が可能になり、今後様々なソフトウェアがリリースすることが予想できます。
ただし、米国ユニシス社は LZW圧縮技術に関する2つの特許を申請中で、新たな特許権の出現によって、ライセンスを求める動きが出てくる可能性もあります。今後の成り行きに注目したいところです。(2004年6月24日追記)


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