Webページのタブー

あなたの Webページを訪れる閲覧者は不特定多数です。当たり前のことですが、あらゆる層の、さまざまな環境の、異なった思想を持った人たちが訪れます。

閲覧者は気まぐれで、わがままです。そのページがほんの少しでもストレスを感じさせてしまうと、閲覧者は「戻るボタン」をクリックするか、他のサイトへ逃げてしまいます。そして2度と戻ることがないでしょう。

Webページ制作者は日夜ページ作りに没頭し、丹精こめてコンテンツを提供しています。しかし、何も知らないうちに Webページのタブーを犯し、閲覧者との少なくない摩擦を生む結果になる場合があります。

そうしたタブーは、決して多くの閲覧者に歓迎されているわけではありません。よりよいコンテンツをよりよく提供するための最低限のマナーがあります。ここでは、陥りやすい Webページのタブーについて解説します。

いきなり音楽を鳴らす
Webサイトのトップページでいきなり音楽を鳴らすのは大迷惑です。頼みもしないのに聞きたくない楽曲を聞かされた時、それが静まり返った会社の事務所ならば悲劇的です。
作者が渾身の力を注いで作成した素晴らしい楽曲は、他のページで、しかも閲覧者の操作によって演奏するようにしましょう。今でも音楽が鳴り始めるサイトは本当に多く、時としてクリックするのをためらってしまいます。
世の中すべての人が、あなたが選んだ楽曲に好意を持っているわけではありません。閲覧者にストレスを与える結果となります。
動く文字は読めない
マイクロソフトが提供する Webブラウザでは、独自規格として marquee というタグが実装されています。このタグに囲まれたテキストを左右に動かすというもので、どういうわけか「初心者」には人気のある仕様です。
ただし、無意味にテキストを動かすのは考え物です。左右に動かす文字を追いかけるのは乱視の元凶です。落ち着きがなく、何が面白くて画面の中で文字を動かさなければならないのか理解に苦しみます。
もし、そのテキストにリンクが仕組まれていたら、閲覧者はそれをクリックするのに何度かマウスを動かさなければならず、少なくないストレスを与えます。
こうした「おちょくり仕様」が現役で今も実装されていることに、強い怒りと疑問を感じざるを得ません。
驚くべきことに、この marquee という意味不明な仕様を、最新の Mozilla や、Netscape まで実装している泣きたくなるような事実があるということです。マイクロソフトとの覇権争いに自ら白旗を揚げ、意地もプライドもかなぐり捨てたようなものです。情けない。
重たい画像
トップページで綺麗な写真を飾りたい気持ちは分からないでもありません。それがサイト全体のコンテンツを暗示するのならば理解できるかもしれません。
ご存知のように Webで利用する画像形式は、テキストベースの HTML文書よりも容量が多いことです。容量が多ければそれだけネットワークに負荷がかかり、無意味なトラフィックを発生させます。
昨今のブロードバンド化(高速常時接続環境)が進んでいますが、それでも全体のネットワーク利用者の3割にも達していません。(2003年11月現在) まだまだ低速なダイヤルアップ環境が圧倒的に多いことを制作者は知る必要があります。中には画像表示を「オフ」にしている閲覧者もあるということです。
ページ全体にわたる大きな写真画像は、もうそれだけでストレスです。写真画像を専門に見せるサイトであってもトップページからいきなりでは、他のページを見ようという気がうせてしまいます。
低スペックマシンの、しかも遅い通信環境ではそのページの読み込み完了までにどれだけの時間が必要になってくるでしょうか。どれだけ通信費を負担しなければならなくなるでしょうか。そんな容量の大きい画像が本当に必要なのでしょうか。
仮に容量の小さい画像であっても、何枚も貼り付けられていたのでは同じ結果になるのは明白です。画像の扱いには慎重になりたいものです。
ややもすると制作者は、ローカル環境だけで容量の成否を判断する傾向があります。ローカルのハードディスクと、ネットワークの通信速度とは雲泥の差があることを知らなければなりません。
バナー広告、背景画像、写真画像などをこれでもかと散りばめれば、いつまでたっても描画できず、閲覧者は速攻「戻るボタン」をクリックしかねません。容量が多いということは、ネットワークのストレスであることを覚えてください。
リンク切れと工事中
トップページで置かれるリンクは自分のサイトを案内するナビゲーションです。閲覧者はトップページを見て、自分にとって有用であるかどうかを判断します。その意味ではトップページの出来不出来は重要です。
有用だと判断し、興味が出てくると当然ナビゲーションリンクをクリックすることになります。その時、不幸にして作者の単純なミスでリンク切れを起こすと、「404エラー」という悲しい場面に出くわします。リンク切れは、それだけでサイトの魅力を損ない閲覧者からの信頼を失うことになるのです。
また、せっかくナビゲーションから該当するページに移動できても、そのページが「工事中」などと制作途中にあるメッセージがあった場合も、閲覧者にストレスを与えることになります。たとえ丁寧なお詫び言葉で書かれていても、基本的にはリンク切れと同じことです。
制作途中であるならばナビゲーションを貼る必要はありません。閲覧者に無駄な操作と時間と通信費を強いるだけで何の意味がありません。
JavaScriptに頼ったページ
ページを魅力的にするために JavaScriptをこれでもかと強要するサイトがあります。いいかげんなスクリプトならばエラー表示が出まくったり、低スペックマシンでは OS ごと落ちたりします。JavaScriptを網羅することが魅力的だと勘違いする「初心者」に多いミスです。
JavaScriptもどきの Webブラウザ依存のスクリプトもありますが、初心者がどこかのサイトからコピーして貼り付けたスクリプトが、ブラウザ依存であることなど知る由もありません。閲覧者が制作者と同じブラウザで見るという考え方は捨てた方が安全です。ブラウザ依存のスクリプトでは、違うブラウザで閲覧したとき、悲しい結果が待っていることは明白です。
不用意に「動いた」り、チカチカさせたり、閲覧者が操作しなければ現れないナビゲーションなどは、決して「魅力的」なことではありません。特にコンテンツとは無関係なスクリプトの強要はすぐにやめるべきです。魅力的なページが魅力的でないページになりうる可能性のほうが多いでしょう。
JavaScriptを閲覧できない、あるいは「オフ」にしているブラウザもあります。もし、そのページがスクリプトに頼って作成されたものなら、そうした閲覧者は情報から疎外されます。スクリプトを表示させたい場合、その完成度を高め、スクリプトに対応していない閲覧者に対して、代替のコンテンツを用意することのほうがより魅力的です。
JavaScriptは、「両刀の刃」とお考えください。絶対はないのです。
Javaアプレットはまだ生きている?
Java言語で作成したオブジェクトは、読み込んでから Java VM が起動するまでにかなり時間がかかります。古い Netscape Navigator では本当に遅くなります。
そうまでして待っていたらくだらない図形画像だったりして、がっくりきます。今か今かと待っていた挙句のアプレットがこんなんではやってられません。
1998年頃には全盛を誇った Javaアプレットですが、最近は Flash にその座を追われています。低スペックのマシンではフリーズしかねないアプレットは、もう時代に取り残されていますが、まだまだ健在のようで困ります。
通信時間を考慮する上でも、アプレットなど他のプログラムが動くようなオブジェクトは、断りもなく動作させるのではなく、ユーザの操作で再現するように心がけたいものです。
色はいろいろ
ページを色で演出することは多くのサイトで利用されています。昨今の Webサイトでは「色がない」などということがないくらい色は重要視されています。
困ったことに配色の取り合わせが悪くコンテンツが読みにくいというページがあります。例えば白色の背景色に黄色の文字、灰色の背景色に白色の文字のような「ステルス的」なコンテンツに出くわすことがあります。これは「読むな」ということでしょうか。
また、真っ青な背景色にどぎつい赤色の文字では目が痛くなるばかりか、色弱障害者には何が書いてあるのかさっぱりわかりません。
色を指定する際、色名でするのはいいとしても、環境によってはレンダリングできない色名もあることを忘れないでください。darkblue とか chocolatehotpink などはすべてブラウザ依存です。異なる環境では再現されることを期待しないでください。
スタイルシートを利用して色を豊富に (1677万色が可能) 描画するのもけっこうですが、低スペックのちょっと古いマシンなど 256色しかレンダリングできない環境もあります。Webで利用する色は、できるだけ WebSafeColor の 216色から選ぶように心がけましょう。
勝手に開く新規ウィンドウ
トップページからいきなりサブのウィンドウが立ち上がるサイトが非常に多いのは困りものです。その多くが広告バナーを表示するもので、勝手に断りなく知らぬ間にいくつも現れ、閲覧者のリソースを無駄食いしています。
低スペックのマシンでは、こうした幾つかの新規ウィンドウが現れただけでフリーズするか、若しくは OS ごと落ちてしまいます。本当に困ったもんです。
最新の Mozillaや、NetscapeOperaでは、こうしたバナー広告を表示する新規ウィンドウを殺すことができます。さっさと MSIEから乗り換えて、ウィンドウ出しまくりから逃げることをお勧めします。
どうしても広告などを表示したい場合は、同一のページで表現すべきです。アダルトサイトでもあるまいし、閲覧者に断りもなく新規ウィンドウを立ち上げるのはマナー違反です。閲覧者がいちいちウィンドウを消すのはそれだけでストレスとなります。リソース無駄食いのウィンドウ表示は絶対に避けておきたいところです。そんなサイトには2度と訪れたくありません。
変更できない文字の大きさ
高齢化時代を迎えています。年を取れば、好むと好まざるに関係なく体力が衰えてきます。誠に残念なことですが仕方のないもので、日頃から体を鍛えておきたいところでしょう。
高齢化に伴って真っ先に異常が現れるのが目です。特に小さい文字が読みにくくなり、老眼鏡をお使いになる方もあると思います。心からの同情を禁じ得ません、私もいつの日にかそうなることですから。
こうした高齢者でも多くの方がインターネットを利用しています。今後ますます増えることになるでしょう。今やインターネットは、深く生活に入り込んでいるのです。
多くの Webブラウザは、表現する文字の大きさを自由に好きなように調整する機能を持っています。高齢者の方はそうした機能を利用して、比較的大きな画面で大きな文字で閲覧している方が非常に多いものです。
ところが、ページ制作者側で文字の大きさを「ポイント」などのように「絶対値」で指定してあった場合、閲覧者側でその大きさをコントロールすることができなくなります。小さい文字は小さいままで、高齢者にとって読むことが困難になってきます。
例えば、こんな小さな文字 では、それが例え有用な情報であったとしても、快適に閲覧することができず、作者も閲覧者も残念な思いになります。
かといって こんなバカでかい文字 にする必要もないでしょう。
閲覧者の環境は実に様々です。なかなか文字の大きさの中庸を求めるのは限界があります。ならばいっそのこと文字の大きさを指定しないほうがずっといいに決まっています。余計なストレスを与えず、誰でも快適に閲覧できるようにすれば、じっくりとそのコンテンツを読むことができます。
どうしても文字の大きさを指定したければ、その大きさは「相対値」で指定するようにしましょう。新進気鋭の Webデザイナーは、自分自身が設計したページのレイアウトを壊されたくないために「絶対値」を指定することが多々ありますが、それは多くの高齢者を情報から疎外することになりかねません。
結局文字の大きさは、コンテンツとは何も意味をなすことがないのです。コンテンツとは無関係な文字の大きさを決め打ちするのは、賢いやり方ではないのです。
Flashの功罪
最近多くなりました。マクロメディア社が提供する Flashムービーは、凝ったアニメーション画像でありながらその容量が小さく、画像はベクトル形式なので拡大してもギャザーが表れない、閲覧者の操作に反応して動作するなど利点が多いのが特徴的です。最近ではアクセシビリティにも重点を置いています。
そんな長所が多い Flash ですが、使い方によっては閲覧者に極度のストレスを生む結果となります。
例えば、サイトのトップページで Flash動画をが延々とロールして、終わりまで見せられるのは苦痛が伴います。また、そのサイトの他のページから戻ってきたときに同じ動画を見せられるのもうんざりです。Flash動画をロールする場合には、「スキップ」できるような仕組みを備えておくことは作者の良心です。他のページから戻った場合には、違うページに誘導するのも当たり前でしょう。
重要な情報を Flashだけで作成するのも考え物です。通常の画像を含め、スクリプトや動画などを利用できない環境もあるのです。特に、非視覚系ブラウザ(音声、点字、テキスト専用ブラウザ)では、作者が渾身の思いで作り上げた Flashムービーを見ることができません。
決して Flashを否定するのではありません。そうした環境のために、Flashとは別の代替コンテンツを用意することが大切です。ムービーには字幕、音声などの情報伝達手段を合わせて講じることは、作者の良心であり義務でもあります。Flashには、そうした機能が盛り込まれています。是非活用してください。
まとめ
今日の Webの隆盛は世界中を結ぶネットワークと、HTTPプロトコル、そしてHTMLというマークアップ言語にあります。Webの本来の目的は、遠く離れたコンピュータから別のコンピュータへ情報を共有することから始まりました。
Webは、閲覧環境に依存しない、つまりどのようなプラットフォームでも同じ情報を共有しなければならないものです。Webブラウザの銘柄だとか、通信環境だとか、OSの違いなどを乗り越えなければならないのです。HTMLは、そうした目的を達成するために多くの研究者の手によって生まれ、その技術仕様を誰もが無償で使うことができます。
使いやすく、サクサクとして余計なストレスを発生させないページ作りは、決して難しいものではありません。Webの目的を熟知し、その作法を守り、有益な情報の共有は、誰もが望むものです。そして、そうあるべきと思っています。
ここに挙げた例はほんの一部です。あなたが嫌うページはあなた自身がやってはいけないことです。閲覧者に優しい歓迎されるページを作るように心がけましょう。きっと多くの人々から感謝されるに違いありません。


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